医療・福祉問題研究会会報NO.76
2006.4.1
第81回研究例会のご案内
日時:2006年4月15日(土)15〜17時半
会場: 金沢市松ヶ枝福祉館 
報告:『加賀市の生活保護行政の現状』
   新後 由紀子氏(加賀市市議会議員)
『多重債務と生活保護の現状』 
三井 美千子氏(NPO法人金沢あすなろ会)

昨年の4月に、静岡大学の布川日佐史さんをお招きして、現場からの報告を交えながら、「生活保護制度の現状と課題」を題した例会を行ないました。例会後、生活保護行政に関する現状をテーマとした例会を、継続的に取り上げてほしいという意見が多くの会員の皆様より寄せられており、今回改めて開催を企画いたしました。
この4月からは、診療報酬改定、介護保険改定、自立支援法の施行など、私たちの暮らしを取り巻く制度が大きく様変わりします。生活保護制度についても、母子加算の引き下げや老齢加算の完全廃止など、生活保護受給者にとってより厳しい状況を迎えることとなりました。また、厚生労働省は生活保護の適正運営に向けて「手引き」を作成準備しており、今後さらに自治体の窓口での相談は、一層厳しい対応をされる可能性があります。
今回の例会では、石川県内でも生活保護受給率の高い加賀市における生活保護実態の報告と、多重債務と生活保護の現状について、新後由紀子さんと三井美千子さんのお二方に報告をしていただきます。
多数のご参加をお待ちしております。


※ 研究例会終了後、医療・福祉問題研究会の世話人会を行ないます。ご都合のつく方は、ご出席お願いします。
第80回例会報告
「医療制度構造改革法案の概要と診療報酬改定」
石川県保険医協会 東亮子

2月18日、「医療制度構造改革法案の概要と診療報酬改定」をテーマとし、石川県保険医協会の工藤浩司氏から、2月10日に国会上程された各法案の中身や、2月15日の中医協で答申されたばかりの診療報酬改定の中身についての解説があり、参加者からも熱心な質問や意見が相次いだ。
今回の例会では、まず工藤氏から、「今回の医療構造改革法案の概要」の説明があり、医療にまで「構造改革」という名がつき、現在の皆保険制度の維持の難しさを感じさせる内容が報告された。そして、2月15日に答申されたばかりの診療報酬については、えてして「医療機関のもうけ」の問題として取り上げられがちなこの問題であるが、「必要な医療を必要なだけ給付する」という保険診療の根本的な原則と不可分の関係にあり、重要でかつ大きな影響を有する問題であることが強調された。その後、今回の特徴的な改定について、解説があったのち、参加者との討論の時間設けられた。
参加者からは、主に今回の大幅な診療報酬の改定に関係した意見が集中した。全体的な改定に対する意見として、「極端な形で抑制政策がはじまった…」「今と同じ医療提供をするだけで大幅な減収となる。もはや医療の質を問える段階ではなく、病院の存続問題だ。」「減収となれば、人を育てることが難しくなる。若い人が意欲を持って働けなくなることが危惧される。」また、患者側の意見として、「不安要素が多すぎる…金持ちだけが受けたい医療を受けられるということか…」「診療報酬のことは、患者側からみて不透明でよくわからない」との声があがった。その後、具体的な点数に関り、在宅療養支援診療所の新設や療養病棟入院基本料、地域連携クリティカルパス等について議論が交わされ、今回の診療報酬改定の問題やそこに表れる意図について意見交換がもたれた。
今回の例会では、充実した保険診療を確立するため、診療報酬や医療制度に対してより密な意見交換を持ち、医療提供側と患者側の間で理解を深めていく努力が重要であることを痛感する会となった。また、今後はより多く医療問題について例会にて取り上げ、議論していくことも確認された。