医療・福祉問題研究会会報NO.78
2006.10.13
医療・福祉問題研究会 20周年記念講演会
日時: 11月4日(土)午後2時〜4時半
 会場: 石川県社会福祉会館 4階大ホール
       (金沢市本多町3-1-10  TEL:076-223-9552)
 講演:「13歳少年から始まった応益負担反対の取組み
     −障害のある人の社会保障と障害者自立支援法−」
 報告者:前田俊彰さん(松山市立道後中学校2年生)
     前田優子さん(愛媛県の障害児の親の会の代表)
     鈴木 靜さん(愛媛大学法文学部)
 資料代:500円

私たちの活動は、2005年10月、障害者自立支援法案の 応益負担反対署名から始まりました。13歳の少年が 呼びかけ人となった署名は5000筆をこし、国政にも影響を与えました。
残念ながら同法は成立し、2006年4月以降、順次施行されています。私たちは、この署名時のネットワークを生かし、障害者自立支援法の下で、障害のある人たちの生活への影響を明らかにし、同法の問題、改善策を考える活動を続けています。
愛媛県、特に松山市では、障害のある人の福祉は進んでいるとは到底いえません。このような中で私たちが活動することの意義、 抱える問題点を話すとともに、障害者自立支援法の抜本的見直しの 実現のため、皆さんと一緒に考えることを希望しています。 当日、お会いできことを楽しみにしております。

※ 講演会のあと、20周年記念レセプションを企画しております。詳細は次ページをご覧下さい。
医療・福祉問題研究会20周年記念レセプション

日時: 11月4日(土)午後5時半〜 
会場: 金沢エクセルホテル東急
会費: 約5500円

 会場の予約の関係もありますので、参加可否について、10月末までに事務局へご連絡をお願いいたします。尚、FAXの場合は、末尾のFAX送信用紙をご利用下さい。多数の参加をお待ちしております。


2006年度研究会総会報告

 7月15日、記念講演会に先立って2006年度の研究会総会を開催しました。
 最初に、横山世話人から「2005年度活動報告と2006年度活動計画(案)」、広田世話人から「2005年度決算と2006年度予算(案)」、河野世話人から「雑誌会計報告」についてそれぞれ報告があり、それを受けて議論が行われた。
 議論では、研究会誌『医療・福祉研究』の発行および販売のあり方、他団体との連携のあり方、部会のあり方、研究例会の企画、研究会のこれからの役割について意見が出された。『医療・福祉研究』については、1500部印刷してきたが販売が進んでおらず、見直す必要があるのではないかとの世話人からの指摘と提案があった。具体的には、会員分200部、執筆者分150部、販売用300部の合計650部という提案である。この提起をめぐって議論が交わされ、部数と印刷費用との兼ね合いからの再検討、個々の会員の販売努力も含めた販売体制の強化など、多くの意見が出された。これらの意見を踏まえて、世話人会で引き続き検討し、次号への対応を判断することを確認した。
研究例会の企画については、療養病床削減の問題を医療受ける人権を侵害する問題として位置づけて検討すべき、同時に療養病床の存否自体を原則的な見地から議論すべき、格差・貧困問題を「格差」論の検討と「不平等」という視点の明確化という視点から議論すべき、などの意見が出された。また、関連して、研究会として制度・政策の転換が及ぼす影響を実証的に明らかにしていく必要があるとの指摘もあった。活動計画で提案した内容をこれらの意見を踏まえて見直し、世話人会で最終的な企画をまとめることとした。
部会のあり方については、研究会として基本方針を明確にして再編も含めて配置していくべきとの意見が出された。世話人会から、現在は会員の自発的な意志によって自由に設けることができる方式をとっており、基本的にはこの方向を継続しながら増やしていきたい旨の説明と提案があり了解された。
他団体との連携については、研究会の役割ともかかわって議論があった。その要点は、研究会の発足当時と比べると、関連する多くの研究会や団体が大きく増えており、会員もそれぞれの研究会等で活動していることから、連携とは言いながら実際には分散化の傾向も見られるが、全体としては裾野が広がり発展してきていること、そのことを踏まえて、あらためて研究会が果たしていくべき役割について検討し、20周年以降の活動のあり方を明らかにする必要がある、ということであった。重要な問題提起として受け止め、今後、世話人会を中心に議論を継続していくことを確認した。             (文責・横山壽一)



総会記念講演報告
「スウェーデンにおける利用者主体の社会福祉法制度
〜その歴史的展開と理念〜」
金沢大学経済学部3年 古田裕樹

社会保障を学ぶ際、日本との対比としてスウェーデンの例がよく出されるが、スウェーデンが現制度を成立させるまでの経緯、現制度の詳細、国民性など詳しく知る機会がなく、福祉国家という漠然とした印象しか掴めていなかった。今回の高田清恵先生の講演は制度の背景を詳しく説明していただき、大変興味深かった。
 さて、制度を次々と改正し理念を失いかけている日本と比べ、スウェーデンの社会保障に対しての理念は「民主主義」「自己決定と尊厳の尊重」「選択の自由」「行政の責任」が主体であり、特に「個人の権利に対する行政の責務」が重要視されている。ただしこの理念は当事者団体と福祉労働者団体を中心とした批判活動により築かれたものである。その集大成である社会サービス法により利用者の権利が確立され、資源の欠如による行政の責任放棄が許されない。この点が日本と大きく異なる点であろう。権利が謳われているにもかかわらず施設不足で入居待ちの高齢者が多数存在する、財源不足で利用者のサービス選択や需給が制限される。これらは明らかに趣旨に反するのに、現実としてまかり通っている点が日本の未熟さなのだろうか。またサービス決定過程や実施過程において利用者が意見表明でき、影響力・自己決定権をさらに強化する姿勢は是非見習うべきである。
今後さらに進む高齢化に対し、日本が福祉国家を目指すのであれば、まずは利用者の権利を重視していくべきであろう。日本国民には自らの力で制度理念を変更し、運営していくほどの民主性を持っているとは言い難い。逆に行政に全てを委任すれば、措置制度がそうであったように、あくまで利用者は反射的利益しか受けることが出来ない。よって利用者の権利を重視することで行政の責任を明確にし、"保険"ではない普遍的な制度を構築していかなければならない。
スウェーデンは福祉大国と言われるが意外にもその歴史が浅いことに大変驚いた。ただその歴史には実に多くの人の努力と理解があり、理想を共有し連帯し、制度を再構築したことに感銘を覚えた。同時に今回得た知識は大変有用であり、今後の研究に生かしていこうと考えている。

↓20周年記念レセプションの申し込みにご利用下さい。
(事務局FAX:076−252−7775)


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