フランスの哲学者フィリップ・アリエスは「どの時代をみてもお年寄りを疎外している社会は子ども達を疎外している社会である。」「お年寄りを大切にしている社会は子ども達を大切にしている社会である。」と述べています。後期高齢者医療制度に関わって、障害のある高齢者に冷たい政治が押し寄せてきています。
 国も石川県も金沢市も財政が大変として、大企業への減税や大企業への支援施策は何ら、メスもいれないで、障害のある人、高齢者の暮らしといのちを「公平」「公平」の名の下に平気で削ろうとしています。
 今回、後期高齢者医療制度に関わって、65歳〜74歳の障害のある人の健康といのちに関わる問題が明らかになりましたので、下記の通り報告いたします。
石川県社会保障推進協議会 寺越博之



65歳〜74歳の障害のある人と石川県心身障害者医療費助成制度について

 後期高齢者医療制度が2008年4月スタートします。65歳〜74歳障害者が後期高齢者に移行するか・移行しないかは選択制になっています。しかし、移行しない場合「心身障害者医療費助成制度が適用されるのか」が新たな問題として明らかになりました。社会保障推進協議会では「移行は当事者が自己決定すべきこと、移行する移行しない、いずれにしても心身障害者医療費助成制度は適用すべき」と石川県に要望し、障害福祉課と懇談をしてきました。その内容を報告いたします。

1.健康福祉部との懇談(11月30日)

<要望事項>
「後期高齢者医療制度を除外申請した65歳〜74歳の障害のある人が石川県心身障害者医療費助成制度を受けられるようにしてください。」

<懇談内容>

社保協:後期高齢者医療制度を除外申請した65歳〜74歳の障害のある人が石川県心身障害者医療費助成制度を受けられるようにしてください。

石川県:65歳〜74歳の障害者(現在8000人程)が後期高齢者医療制度への移行を辞退した場合に保険料は発生せず、窓口負担(2割か3割)分も心身障害者医療費助成制度で負担ゼロとなるのはいかがなものか。2割、3割の負担分を県が補償するのは補償しかねる。

社保協:65歳〜74歳の障害のある人8,000名に、そのことをどのように説明を実施するのか。
石川県:11月初旬に市町障害課長会議を開催した。富山県も辞退した場合助成しないよう決めたようだ。県の方針を早めに決めていきたい。

社保協:65歳〜74歳障害者で健康保険家族の人は後期高齢者医療制度に移行すれば、半年凍結後の保険料賦課が待っている。移行しなければ74歳まで保険料徴収がない。保険料だけをみれば、後期高齢者医療制度に移行しない方がメリットが大きい。また後期高齢者医療制度における診療報酬は、75歳未満とは違う限定診療になると言われている。外来も入院も定額制になるといわれている。定額診療報酬になると必要、十分な医療を受けることが難しくなる。65歳〜74歳の人工透析の患者さん達は、受ける医療内容からみれば後期高齢者医療制度に移行しない方が、必要な医療をうけることが可能となる。医療内容の面からも、当事者が自由に選択できるように、後期高齢者医療制度に移行する移行しない。いずれにしても心身障害者医療費助成制度が受けられるようにするように、県の方針を決定してほしい。

2.障害福祉課長との懇談(12月20日)
社保協:
(1)石川県心身障害者医療制度は障害3級に助成がない、所得制限も一番厳しい老齢福祉年金の受給制限にしている。石川県の心身障害者医療費助成制度は全国的水準から遅れた水準にある。

(2)後期高齢者医療制度は選択制。選択制が確保できるには、移行する・移行しない、いずれにしても心身障害者医療費助成制度が適用されないといけない。野々市町は移行しても移行しなくても心身医療費助成制度を適用するとしている。石川県も野々市町のようにすべきである。

(3)後期高齢者医療制度の別立ての診療報酬は現在審議中である。審議で論議されているのは、大変ひどい内容で、リウマチや人工透析の場合、必要な医療が受けれなくなる。

(4)8都道府県は、移行しても移行しなくても助成を行うとしている。先進県に学ぶべきである。

(5)これまでも健康保険本人が2割から3割負担となったりしたが、県の心身障害者医療費助成制度は3割の負担をしてきた。今回のみ財政的理由から、移行しない場合1割しか助成しないというのはおかしいではないか。

石川県
 65歳〜74歳の障害者が後期高齢者医療制度に移行しなければ3割負担、2割負担となり心身障害者医療費助成制度での助成額も増える。だから移行しない場合、1割の助成になることもありうる

3.今後に必要な事は

*腎友会、県リウマチ友の会、患者会、医療関係者、団体、個人から県に働きかけることが重要である。

*知事査定があって県の予算案が決まるが、決まるまでに働きかける必要がある。

*予算案が決まれば、県議会での議論になる。

*県議会でその方針の是非が議論される。

*全ての政党に働きかけ、改善を請願することが求めらている。
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