特集「民活」型医療・福祉を考える<民間サービスの現状と展望一事業者の発言(2)>
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ヘルプ石川 松 本 芳 士 | |
医療福祉問題の思考,研究の外郭として、民間企業の参入によって多少でも高齢者社会のニーズに役立てばと念願しております。私達は,従来行政やボランティアが行っていた部門を一つのシルバー産業として実際に成り立つかどうか,在宅介護のクリーンベッド(在宅介護即ち寝たきり老人にとっていやなことは,用便の始末を他人の世話になることであり,また家族にとっても最も重労働を感じることの一つですが,これが老人自身の手によりボタンーつでの操作で背起きが出来、脚部降下による椅子に座る形での用便、後始末は温水の自動噴射による洗浄と温風による乾燥)を介在しながら,半ばテスト的にスタートしました。 まずユーザーの情報をキャッチするためにNTT関係の通信機器の仕事をしておられる津田秀雄氏を母体に,電話回線を通じてのテレホンアポインターによる情報のキャッチ,例えばタパコ屋,クリーニング屋,米屋さんなどによるものと,営業マンの情報蒐集を軸に,寝たきり老人を約200名位つかみ,実質的にそれらの方々の日常生活に深く連携を保つために,行政の福祉やボランティア活動での行さ届かない部面や,これから益々急速に進展するであろう施設型高齢者福祉から在宅型への移行を考え,それを市場形成の足場とするためにも,家族に代わって行き届いたサービスをアピールし“寝たきり老人にサービスの出許・のキャッチフレーズで15の業者が集まって石川シルバーケア友の会を発足いたしました。事業内容は以下のとおりです。 @ 緊急連絡(救急)サービス A 一日一声電話訪問 B 入浴サービス(希望者に温泉湯提供) C 家事介護サービス D 物品サービス A 簡易浴槽 B 電動式ベッド C 一般介護用品 Eランドリーサービス F大掃除,力仕事サービス Gマッサージサービス H理容,美容サービス I葬祭執行サービス Jソシアルワーカー派遣 K便利業務その他 しかし,実際に当たって行政や医療分野,派遣業者との絡み合いが生じたり色々と難しい問題が重なり,また我々自体シルバー産業への参入の仕方の精神的な面にも問題があることに気付きました。即ち老人福祉と営利活動は相いれない要素があり,福祉の対象から利益をあげることにある種の抵抗感が潜在意識にあることでした。 神経的なジレンマを乗り越えて積極的な役割を演じ企業として参入すべきであり,適正利潤の追求をして,その利潤が次のサービス向上にもつながる理ですが,まだ,民営企業のマーケッティングのサイドでは中途半端な迷雲の中での試しの段階ではないでしょうか。 もちろん既に在宅医療機器や,広島,静岡等にみる救急管理センターを中心とした動き(全国に巨って推進している)がみられますが,まだ遅々として展開が活発化していないように見受けられます。 ある調査機関によると10兆円〜15兆円の巨大市場規模ともいわれ,将来性豊かな市場であるにかかわらず,需要消費市場の側面からのみ高齢者問題をとらえ,市場参入の運びが遅々として進んでいないのが現況かと思われます。 ヘルプ石川の高齢者サービスの実態の推移を分析すると,これまでの市場に関しては商品やサービスはコチラサイドで提供され,その中から老人が選択しておるいわば間にあわせであり,そうではなくて老人のウォンツやニーズに合ったものを開発提供するという積極的な役割を持つことの必要性を痛感させられます。老人と言うと,おしなべて貧しいと言うよりもケチで,例え金があっても消費には極めて消極的,保守的ととらえ,営利対象とするよりも福祉対象とする見方が底流としてあったことは否めないのではないでしょうか。 またこれまでのように老人ホームとか,寝たきり介護とか,陰(イン)のイメージを高齢者全般を対象に一歩前進して陽(ヨウ)のイメージ,老人のウォンツやニーズに積極的に取り組む姿勢の必要があるのではないでしょうか。 老人のウォンツやニーズに応える商品,商法は即ちサービスにも通じ,福祉の一端を由うことにもなり,企業として活性化の道も開かれるのではないでしょうか。 近き将来の人口構成にみる高年層の比率の増大と,現在カードやローンに助成されているヤングから中年層の購買行動もその基盤の縮小は必至で,定年制の延長,雇用,年金制度の充実とあいまって行動的なファッショナブルな老人が増加しつつあり,老人のこれから生活意識の変革とそのニーズを睨み合わせて高齢者社会の活力を見直し,未成熟な市場であり難問危険はありますが,その推移を深く分析することによって,高齢化社会は古くて新しいマーケットと言えるのではないでしょうか。 |
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