2005年度活動報告と2006年度活動計画

T.2005年度の活動報告

1、総会記念企画
 2005年度の総会記念企画として、7月9日 暉峻淑子さんの講演「ほんとうに豊かな社会とは」を石川県社会保障推進協議会との共催で開催しました。暉峻さんは、格差・貧困の拡大を踏まえた社会制度と社会保障のあり方を広い視野から提示され、今後の研究会活動に多くの示唆と刺激を得ることがでました。社会保障推進協議会をはじめ関係者の奮闘もあり、多くの参加者を得て開催することができました。

2、研究例会・シンポ
  総会以降、5回の例会と1回の特別例会を開催しました。テーマ・報告者等は、以下のとおりです。
 第77回(8月20日)「デンマークにおける障害のある人の自立保障―教育機関からの挑戦」
(オーレ・ラウス氏・エグモンド・フォルケホイスコーレ校長、ミケル・ペーダーソン・同校教員、片岡豊氏・高校教員、通訳)

  第78回(10月10日)「ほんとうの自立とは・夢のあるくらしを求めて−
「障害者自立支援法」のゆくえと今後の医療・福祉を考える」
(藤井克徳氏・日本障害者協議会常務理事)ひろびろ共同作業所・ワークショップひなげし・工房シティと共催
 
  第79回(12月23日)ハンセン病と人権/「元ハンセン病患者故浅井あいさんとかかわりながら」北谷真理氏・ハンセン病支援・ともに生きる会、「民主主義と人権の視点から」井上英夫氏・ハンセン病問題に関する検証会議検討会委員長

  第80回(2月18日)「医療制度改革について」工藤浩司氏・石川保険医協会

  第81回(4月15日)生活保護の現状と課題/「加賀市の生活保護行政の現状」新後由紀子氏・加賀市議会議員、
「多重債務と生活保護の現状」三井美千子氏・NPO金沢あすなろ
  
  特別例会(5月14日)「ハンセン病隔離政策と医療」宇佐美治氏・元ハンセン病問題 検証会議検討委員会
  以上のテーマに示されるように、今年度は、現下の人権と医療・福祉に関わる重要な問題を、国際交流も含めて、取り上げることができました。そして何よりも、それぞれのテーマについて、当事者及び最前線で関わっている人たちの報告を聞き議論できたことが大きな成果です。

3、研究会誌の発行
  10月に『医療・福祉研究』第15号を発行しました(1500部)。「憲法と社会保障」を特集し、平和と人権、改憲問題、生活保護、医療、介護の側面から、憲法の意義を改めて考える問題提起を行いました。全体で26人の方に執筆いただき、25本の原稿を掲載しました。
いずれも読み応えのある内容で好評を得ていますが、普及の状況は残念ながら芳しくなく、今後の奮闘が求められています。

4、部会活動
  部会活動は、障害部会1回にとどまりましたが、障害部会のメンバーは障害者自立支援法に関連した企画の実行委員会へ参加し、企画の具体化と成功に重要な役割を果たしてきました。医療部会は、中心メンバーが多忙で開催されませんでした。新しい部会を設ける動きも一部にありましたが、実現には至りませんでした。
   
5、介護保険の提言づくり
  研究会も参加している「人権保障をめざした介護保険制度を提言する会」で「介護保険『改正』に伴う自治体への提言」をまとめ、県内の全自治体へ送付しました。短期間の困難な作業でしたが、研究会として積極的に参加し提言づくりに貢献しました。「提言」は、介護保険制度の改正に対して、原則的な見地と具体的な改善課題を示しており、今後の取り組みにも生かしていける内容です。地域・自治体で、活用してもらうよう働きかけも求められています。

6、他団体との連携・共同
  今年度は、総会記念企画、第78回例会、介護保険の政策提言づくりの取り組み、さらには「医療と福祉を考える市民の集い」実行委員会への参加、いしかわ自治体問題研究所との共同企画の検討など、これまで以上に他団体との連携・共同が進み、新たな関係を広げることができました。

 7、会報の発行とホームページ・メーリングリストの拡充
  会報は、6号分(72号から77号まで)発行しました。担当者の努力で、例会案内、例会報告を中心にほぼ定期的に発行することができました。「ホームページ」も適宜更新され、内容も少しずつ充実してきました。一足先に動き出した「メーリングリスト」はすっかり定着し、活発な情報交換の場として活用されています。

 8、研究会の運営
  オープンスタイルの世話人方式をはじめて2年経過しました。スタイルとしては定着しましたが、参加が少数の会員に限定されており、オープンスタイルのメリットをなお生かしきれていません。開催にあたっては、研究例会と重ねた開催とするなど、参加のしやすさを求めて若干の工夫はしてきましたが、なお改善の余地は少なくありません。
なお、新たに11人の加入(正会員7人、賛助会員1人、学生会員3人)がありました。他方で、6人の退会(いずれも賛助会員)がありました。その結果、会員は全体で184人(正会員90人、賛助会員74人、学生会員20人)となりました。

U.2006年度の活動計画

1、研究例会・シンポ
   研究例会は、例年通り4〜6回の開催をめざします。また、例会として取り上げることができる企画が持ち込まれたときには、特別例会として開催できるよう検討します。内容は、総会での議論を踏まえて世話人会で具体化します。基本的な方向として、保健・医療・福祉の動向、会員の活動状況などを踏まえながら、適切なタイミングで、より本質的な議論できる企画をめざします。さしあたり候補となりうるテーマとして、以下のものが考えられます。
  改正介護保険、医療保険関連法、障害者自立支援法の影響についての検証、医療制度の転換と医療機関の再編、医療論理を考える、少子化と人口減少をどう考えるか、次世代育成と保育問題、憲法改正・教育基本法改正と社会保障、格差・貧困と社会保障、税制改正・消費税問題と社会保障、自治体の市場化と医療・福祉(市場化テスト、指定管理者制度、PFIと医療・福祉)、「予防重視」と健康問題など。
 当面、8月27日にグループホームたかまつを考える会との共催企画、10月14日に研究会も参加する実行委員会方式による秋元波留夫・藤井克徳さんを迎えての講演会が予定されています。
 
2、20周年記念企画
  11月4日(土)に20周年記念講演会と記念レセプションを開催します。それに先立って、道見会員の協力を得て「記念グッズ」の作成・販売を行います。また、若手を中心にこれからの研究会を展望する「記念座談会」を行い、『医療・福祉研究』第16号に掲載する予定です。さらには、『医療・福祉研究』にこれまで掲載された講演記録・論文を中心に単行本を編集・出版する予定で、井上英夫会員を中心に作業を進めているところです。

3、研究会誌の編集・発行・普及
  『医療・福祉研究』第16号を編集・発行します。11月4日の20周年記念行事の当日には発行できるように作業を進めているところです。特集は、研究会の課題・活動などを踏まえて「ヒューマンパワーと保健・医療・福祉」(仮)とする予定です。これに、上述した「20周年記念座談会」、現代の焦点などを加えた内容とする方向で編集中です。発行部数については、バックナンバーの大量在庫という現状を踏まえて見直しを行います。また、20周年記念という節目の時期を生かして、バックナンバーの普及促進を進めます。 

4、社会保障学校の開催
  いしかわ自治体問題研究所・石川社会保障推進協議会との共催で、10月7日に「社会保障学校」を開催します。すでに三者による準備委員会が動き始めています。研究会として、今後、企画について積極的に提案を行っていきます。

5、スタディ・ツアーの企画
  他地域の施設・実情調査などを目的とした企画を、会員の要望を踏まえて具体化します。今年度は、20周年記念として海外視察も視野に入れて具体化します。

6、部会活動の活性化
  すでに設置されている障害部会、医療部会に加えて、介護部会、保育部会、年金部会なども条件があれば立ち上げ、部会主体の研究例会を増やせるよう取り組みを強めます。

7、会員への情報提供の充実
  会報を引き続き定期的に発行し、内容の充実をめざします。また、「ホームページ」についても、早いタイミングでの更新と内容の充実をめざします。「メーリングリスト」については、登録対象者の拡大を進めるとともに、会員の協力を得て効果的な情報提供・意見交換の場として、いっそうの活用をめざします。

8、研究会の運営体制の強化 
  引き続きオープンスタイルでの世話人会を中心に、研究会の運営を進めます。世話人会への積極的な参加を呼びかけ、拡充を図ります。新たにつながりができた人たちへ研究会への参加を呼びかけるなど、会員の拡大を進めます。会費の確実な回収に努め、健全で安定した財政運営をめざします。