医療・福祉問題研究会会報 No.71
第76回研究例会のご案内
日時: 6月4日(土)午後2時〜4時半
会場: 金沢市松ヶ枝福祉館 3階
報告: 「生活保護の現状と課題」

   現場からの報告

報告者: 布川日佐史さん(静岡大学教授)

生活保護制度は、日本国憲法第25条に基づき、国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を無差別平等に保障する法律であるともに、日本社会の最後のセーフティネットとして役割を果たしている。ところが、社会保障全体の見直しの中で、生活保護制度の在り方や生活保護基準についての妥当性についても検討されることとなり、今年度は母子加算の段階的廃止、被保護者に対する自立支援プログラムが新たに導入された。その一方で、生活保護行政の窓口では、「自立支援」の名のもとで生活保護法上の「補足性の原理」を理由に、真に困窮した生活を送っている要保護者に対しても、当然のごとく生活保護申請不受理を強化している実態にある。今回、このような生活保護制度改革の流れの中で、「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」の委員をされていました静岡大学の布川日佐史さんを講師に招き、現場からの報告を交えながら、「生活保護制度の現状と課題」と題した例会を予定しています。多数のご参加をお待ちしております。
総会記念企画 報告
医療・福祉問題研究会 総会のご案内  

日時: 7月9日(土)午前11〜12時 
会場: 石川県立生涯学習センター(旧県庁跡)
 2004年度の活動報告と2005年度の活動計画案
 2004年度の決算報告と2005年度の予算案   など

※参加者にはお弁当をご用意しています。参加される方は、末尾の申込用紙でFAXにて、又はメールにて事務局までご連絡をお願いします。

【事務局連絡先】  河野 すみ子
TEL/FAX  076−252−7775
E-Mail    yyhms182@ybb.ne.jp
医療・福祉問題研究会 総会記念企画
日時:  7月9日(土)午後1時〜
会場:  石川県立生涯学習センター2階
テーマ: 「ほんとうに豊かな社会とは?」
講師 :  暉峻 淑子氏(埼玉大学名誉教授)
参加費: 500円(NGO活動の難民支援として寄付されます)

※ 今回の総会記念企画は、石川県社会保障推進協議会との共催で行なわれます。同封しました案内をご覧ください。
第75回例会報告
「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の現状と課題」
城北病院 信耕 久美子

2005年4月23日、「グループホームこさか」のホーム長、酒井範子さんに報告してもらった。

まず、金沢市が昨年策定した「グループホームの開設及び運営に関する指針」を一部紹介しながらグループホームがどういうものかの説明があった。指針が作成された目的が、「グループホームは多様で人権侵害の恐れもあり、他方、事業者の新たな開設意欲も強いことから、入所者の権利擁護の一層の充実を図る為」とあるところに今まさにグループホームがおかれている現状が伺えた。

次に、「グループホームこさか」の現状や取り組みを、具体的にありのままの話をされた。開設後1年は入居者の要介護度は明らかに改善され、グループホームの威力を確信しながら実践が出来たが、2年目で重症化傾向が始まり、3年目では14名中11名の重症化があり、入居者も開設時より半分が入れ替わった状態となった。退去となった14事例からどのような経過で退去になったのかが詳しく紹介された。医療が必要ないと言われているグループホームだが実際には認知症以外の看護・介護も大きな課題であることがわかる。ホームの人員体制は認知症介護の経験があり管理者研修を受けているホーム長とケアプラン作成資格者がいれば、ケア従事者に資格は必要ない。家庭内でごく当たり前に行う傷の手当てもホーム内では看護師がいないと出来ない現実。県の指導で日勤に常勤を1人配置し、夜勤を週1回に制限すると夜勤専門のパートを雇わざるを得なくなる。

このような条件の中で、グループホームの理念の実現にむけて更なる取り組みを行っている。外出の機会は充分保障しつつも交通量の多い道路に接しているため、エレベーターを暗証番号にしていたところ外部評価員から拘束との指摘を受けた。100%納得したわけではないが暗証番号を使わなくしたら、自分自身の気持ちが一番楽になっていた。

入居者の昼と夜の様子はガラリと違う、だからこそ各ユニットの夜勤者が仮眠を取れるよう体制強化を考えている。採算的には合わない話だが、夜間の労働を考えると手を打たざるを得ない。国の施設基準の2ユニット一人夜勤は全く現実的ではない。 

このようにホーム長しか語れない内情や苦労を率直に語っていただき、非常に貴重な報告だった。グループホームを具体的に理解できたとともにその抱えている困難が想像を上回るものであることを教えられた。グループホームの良さが輝く介護サービスになるために、私たちの大切な財産として今後も熱烈な応援団となりたいと思いを新たにさせてもらった。
私のひとこと、私も一言
「効率を求める世の中」

  道見 藤治(ピアカウンセラー)
 先進国では打ち続く不況のなか、一層厳しく効率向上を求められる様子と思われる。その下で多くの人がストレスを感じている。JR福知山線の脱線事故は、過密ダイヤで時間に追われる心理状態に運転士が陥っていたのも原因の一つではなかろうか。

 翻って、福祉の分野においても財源の締め付けの厳しさがあり、先般、グランドデザインと障害者自立支援法が提示され、諸サービスに10%の応益負担が課せられることが明らかとなり、障害のある人、関係者に不安が渦巻いている。

 精神障害では上記見直しが決定すると、通院医療費公費負担が廃止となり、現行自己負担5%が倍の10%に変わる。所得税30万円以上の世帯では、医療保険での支払いとなり、3割負担となる。多くの精神に障害のある人にとって大きな関心事であり、実施されれば辛さが生じる。また、おかしなことで、作業所や通所授産などは働く準備をする場ではあるものの、人によってはそこが居場所、なけなしの金を稼ぐ場となっているにもかかわらず、利用料という「税金」みたいな金を支払うことにもなりそうだ。社会への足は遠のくことにはならないか。

 事業者サイドにとっても厳しい施策となっている。これまで事業者に一括補助金が出されていたが、今後は個別給付ということで障害のある人に金が支給される額だけ代理受領となる。支給決定に至るまで、市町村と障害のある人との間に「自立生活支援計画」というものが介在することになる。ケアマネジメントが始まるのかなと予想される。


 明るい話も少し。障害者手帳が3障害共通の様式になる。精神障害も写真貼付となる。交通費の半額補助(助成)に向けて、法定雇用率の算定に向けて追い風になろう。

 弱い立場にある人が働くことを保障する社会システム作りは大事だと思う。一方、働かない選択をする人を排除する、時代に逆行した障害者自立支援法が所得保障なしに実施されれば危険である。いずれにせよ効率向上だけが走っているようでは息苦しく、それでは創造性はなくなり、没落への道となろう。なぜ気付かぬか。 (NPO法人KMC:こころ新聞より転載)
事務局短信
メモ: 医療・福祉問題研究会ホームページをご覧ください!会員の皆さん、医療・福祉問題研究会のホームページをご覧になったことがありますか?研究会では、会員の皆様をはじめとした多くの方々に対し、研究会での活動をお知らせするために、「Daisyいしびき」にご協力いただきホームページを開設していています。次回の例会の案内なども随時紹介していますので、ぜひご活用ください。あわせて、ホームページへのご意見もお待ちしております。アクセス先は以下の通りです。http://www.geocities.jp/iryouhukushikenkyuukai/
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