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第75回例会報告
「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の現状と課題」
城北病院 信耕 久美子

2005年4月23日、「グループホームこさか」のホーム長、酒井範子さんに報告してもらった。

まず、金沢市が昨年策定した「グループホームの開設及び運営に関する指針」を一部紹介しながらグループホームがどういうものかの説明があった。指針が作成された目的が、「グループホームは多様で人権侵害の恐れもあり、他方、事業者の新たな開設意欲も強いことから、入所者の権利擁護の一層の充実を図る為」とあるところに今まさにグループホームがおかれている現状が伺えた。

次に、「グループホームこさか」の現状や取り組みを、具体的にありのままの話をされた。開設後1年は入居者の要介護度は明らかに改善され、グループホームの威力を確信しながら実践が出来たが、2年目で重症化傾向が始まり、3年目では14名中11名の重症化があり、入居者も開設時より半分が入れ替わった状態となった。退去となった14事例からどのような経過で退去になったのかが詳しく紹介された。医療が必要ないと言われているグループホームだが実際には認知症以外の看護・介護も大きな課題であることがわかる。ホームの人員体制は認知症介護の経験があり管理者研修を受けているホーム長とケアプラン作成資格者がいれば、ケア従事者に資格は必要ない。家庭内でごく当たり前に行う傷の手当てもホーム内では看護師がいないと出来ない現実。県の指導で日勤に常勤を1人配置し、夜勤を週1回に制限すると夜勤専門のパートを雇わざるを得なくなる。

このような条件の中で、グループホームの理念の実現にむけて更なる取り組みを行っている。外出の機会は充分保障しつつも交通量の多い道路に接しているため、エレベーターを暗証番号にしていたところ外部評価員から拘束との指摘を受けた。100%納得したわけではないが暗証番号を使わなくしたら、自分自身の気持ちが一番楽になっていた。

入居者の昼と夜の様子はガラリと違う、だからこそ各ユニットの夜勤者が仮眠を取れるよう体制強化を考えている。採算的には合わない話だが、夜間の労働を考えると手を打たざるを得ない。国の施設基準の2ユニット一人夜勤は全く現実的ではない。 

このようにホーム長しか語れない内情や苦労を率直に語っていただき、非常に貴重な報告だった。グループホームを具体的に理解できたとともにその抱えている困難が想像を上回るものであることを教えられた。グループホームの良さが輝く介護サービスになるために、私たちの大切な財産として今後も熱烈な応援団となりたいと思いを新たにさせてもらった。

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