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第86回研究例会報告
「地域包括支援センターができて1年 
〜地域包括支援センター職員によるリレートーク〜」
小矢部市社会福祉協議会 萩沢友一
「地域包括ケア」の実施機関として、実際はどのように機能しているかという視点でリレートークが展開されました。
 始めに、寺本紀子氏(津幡町地域包括支援センター)より包括支援センター(以下、センター)の概要について説明をいただきました。センターは、地域ケアの拠点として位置づけられ、総合性・包括性・継続性の3点が運営の原則である。設置数は全国で約3,400強、1,690の保険者での設置率は87,8%、36%が市町村直営型、64%が委託型となっている。
 運営の課題として居宅介護支援事業所より、介護予防プランの様式が煩雑、単価が低い、各センター機能の質に格差がありすぎる等の不満。センター現場職員からは、過多な業務に疲弊している等。市町村の問題意識として委託料引き上げは困難、各センター力量や質の格差、特定高齢者が挙がらないなどがあるとされた。
 次に各発表者から、センター稼働開始以降の変化や意義について報告があった。杉本敦子氏(志賀町地域包括支援センターサブセンター有縁)からは、当該区域の在介センターからそのまま包括に赴任したため、在介勤務時代から把握していた対象者が要援護者となった際、円滑にサービス提供やネットワーク(以下、ネット)づくりができた。中恵美氏(お年寄り地域福祉支援センターとびうめ)からは、虐待問題ケースを挙げ、要介護者本人にサービス提供できただけでなく虐待の加害者にも医療的サービスの必要性を把握し、提供できた。更に、要介護者本人側の支援者ネットと加害者側の支援者ネットの合同カンファレンスを実現できた。また、高齢者分野以外の相談も受け付けることができることも意義の一つ。橋爪真奈美氏(お年寄り地域福祉支援センターみつくちしんまち)からは、県営住宅を公社が管理していた頃はそこのニーズ把握は困難であったが、包括型ができた頃に住宅の管理が民間に委託された結果、その民間会社に住宅の住民がニーズを訴えるようになりその相談をセンターが受けるといった流れができた。また、職員体制が社会福祉士、保健師、ケアマネと介護保険施行前のように戻り医療専門職が加わったことが力強い。だが、予防プランの件数が多すぎる。武田智美氏(お年寄り地域福祉支援センターかみあらや)からは、認知症の方のケースを挙げ、各専門機関だけでなく住民や家族、友人等のインフォーマルな人々をネット化することができた。また、センターに社会福祉士が配置されたことが大きい。東出洋幸氏(能美市高齢者支援センター)からは、虐待問題に対応する機関として位置づけられた結果、虐待ケースを扱う機会が増え地域のネットづくりを色濃く行うことができた。また、高齢者だけでなく、多様な相談者をワンストップな形で対応できる体制を築くことや社会福祉士の役割の明確化、虐待問題対応のネットづくりが課題である。
 その他、介護予防事業をセンター業務からはずし、独立させたほうが良い。介護予防を考える地域ネットづくりが必要。法律の知識がある社会福祉士と医療的知識や経験のある保健師が組めばより良い支援を行うことができるといった議論があった。

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