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2006年度の活動報告と2007年度の活動計画(案
T、2006年度の活動報告
1、総会記念企画
 2006年、7月15日 総会・総会記念講演会は、「スウエーデンにおける利用者主体の社会福祉法制度−その歴史的展開と理念−」と題して、琉球大学法文学部の高田清恵さんからお話を伺いました。1年間にわたるスウェーデン留学の成果をもとに、日本の社会保障にとっても中心的な課題である「利用者主体」についてスウェーデンの基本理念と最新動向についてお話いただき、多くの示唆を得ることができました。
2、研究例会
 総会以降の開催状況は以下のとおりです。
 8月27日 第82回研究例会「福祉を語る講演&リレートーク 下村恵美子氏(宅老所よりあい)を迎えて」(主催:「グループホーム」事件を考える会、共催:国際高齢者年・石川NGO、医療・福祉問題研究会)
10月14日 第83回研究例会「秋元波留夫講演会」−障害者自立支援法がスタートとした今、それでもしたたかに−(主催:秋元波留夫講演会実行委員会、きょうされん石川支部設立準備会、後援:医療・福祉問題研究会等)
12月23日 第84回例会「どうなる療養病床?療養場所をさまよえる患者たち−在宅と転院の試みから見えてきたもの−」報告者:信耕久美子(城北病院医療ソーシャルワーカー)、伍賀道子(金沢リハビリテーション病院医療ソーシャルワーカー)
 2月24日 第85回例会「どこへいく生活保護制度−生活保護をめぐる現状と課題−」第1部「北九州市生活保護問題現地実態調査に参加して」報告者:信耕久美子(城北病院医療ソーシャルワーカー)、伊深綾子(金沢大学井上ゼミ生)、第2部「金沢市における生活保護の実態」報告者:榊国雄(あすなろ会)
3月8日 特別例会「宇佐美治さんと語るつどい」、ハンセン病支援ともに生きる石川の会と共催
5月12日 第86回例会「地域包括支援センターができて1年」地域包括支援センター職員によるリレートーク。コーディネータ寺本紀子さん。報告者:県下の地域包括支援センターに勤務する社会福祉士4人。
6回のうち3回は他団体との共催として取り組み、いずれも多くの参加者を得て開催することができました。また、それぞれの分野の活動を広げる役割も果たすことができました。独自の研究例会では、療養病床、生活保護、地域包括支援センターといずれも今日の重要な課題を取り上げ、それぞれに充実した報告を受けて、活発な議論が行われ、理解を深めることができました。
3、『医療・福祉研究』第16号の編集・発行
 2007年2月に『医療・福祉研究』第16号を発行しました。今号は20周年記念号として、若手中心の10人のメンバーによる「20周年記念座談会」、そして研究会のこれからと今後の核心的テーマを意識した特集「保健・医療・福祉とヒューマンパワー」の二大企画で構成されています。この特集には6人(研究者3人、社会人3人)、論文で3人(研究者1人、社会人2人)、現代の焦点で3人(研究者1人、社会人2人)その他2人(社会人2人)、総勢24人の執筆者によって担われ、読み応えのある充実した誌面に仕上げることができました。定期購読制をとっていないため、一からの速やかな普及が求められています。
4、20周年記念企画の取り組み
研究会20周年を記念して、11月4日に記念講演会と記念レセプションを開催しました。記念講演会では、愛媛県で取り組まれた障害者自立支援法反対のユニークな活動について、当事者の前田俊彰君(松山市立道後中学校2年生)、前田優子さん(愛媛県の障害児の親の会代表)、鈴木靜さん(愛媛大学法文学部)をお招きして、実際の取り組みとその意義についてお話を伺いました(「13歳少年から始まった応益負担反対の取組み−障害のある人の社会保障と障害者自立支援法−」)。前田君の鋭い人権感覚とユーモアあふれる参加者とのやりとり、前田優子さんからの粘り強く周りを変えていった親の取り組みの紹介、そしてデンマークの状況も交えた広い視野で障害を持つ人の権利を捉えなおし、障害者自立支援法の持つ問題点を深く掘り下げて話をして頂いた鈴木さん、それぞれ三人の話の絶妙な組み合わせで、これまでにないユニークで感動的なひとときを持つことができました。講演会終了後に、20周年記念レセプションを「エクセルホテル東急」で開催しました。
また、20周年記念の取り組みとして、記念グッズの作成と販売(CDケース入れとブックカバー60個、完売)を道見会員の全面的な支援を得て行い、好評を得ました。また、これまでの活動内容をまとめた「記念誌」を発行しました。さらに、総会直後の7月16日に若手会員を中心に「20周年記念座談会」を開催し、その内容を『医療・福祉研究』第16号に掲載しました。
5、第1回社会保障学校の開催
研究会、石川県社会保障推進協議会、いしかわ自治体問題研究所の三者の主催で、10月7日に第1回石川県社会保障学校を開催しました。幅広い社会保障の学習と交流の場を求める根強い関係者からの声を受けて、三者の共同で実行委員会を設け、ようやく実現にこぎつけました。全体のテーマを「福祉の街づくりを考える」と設定し、長野県栄村の斉藤家富総務課長をお迎えして「栄村のげたばきヘルプ〜実践的住民自治が支える地域総合福祉政策」と題して記念講演を行っていただきました。また、石川県での社会保障裁判から学ぶ「宮岸年金訴訟&高生活保護訴訟」とのテーマで特別報告を受けました。分科会は以下の5つが開催され、そのうち3つは研究会会員が講師を努め、当日の運営でも会員が積極的な役割を担うなど、研究会として大きく貢献しました。  
@ 社会保障とは何か〜その歴史と理念〜 井上英夫(金沢大学)会員
A 買う医療・福祉・介護で良いのか?  横山壽一(金沢大学)会員
B三位一体改革と地方財政        武田公子(金沢大学)
C崩壊する地域社会〜ワーキングプアの現状と改善方向 伍賀一道(金沢大学)会員
Dこどもたちの保育が危ない
6、能登半島地震被災地調査
 3月25日に発生した能登半島地震について、一貫して能登に関わってきた研究会として、組織を挙げて復興に全面的な支援を行うことを世話人会として確認し、そのうえで以下の取り組みを行いました。  
  5月1日 能登半島地震被災地調査のうち合わせ
6月9日〜10日 能登半島地震の被災地調査を実施(16名参加)
 5月の打ち合わせにおいて、地域を特定して継続的に関わる方向で取り組むこと、まずは現地を訪問し被災地の全体状況を把握することを確認し、それを受けて6月の調査を実施しました。なお、継続的に関わる地域として「深見地区」と「稗造地区」を候補地とし、6月の訪問の際に最初のヒアリングを実施しました。
7、研究会運営
 引き続きオープンスタイルの世話人会方式で運営を進めてきました。世話人会は、ほぼ毎月開催され研究会の活動を支えてきましたが、メンバーが少数固定化の傾向にあり、改善の余地を残しました。会報は第77号から第82号まで6号発行しました。また、会員は新たな加入が13人(正会員10人、賛助会員0人、学生会員3人)、退会が2人ありました。加入ではインターネットでの入会という新しい形態が登場しました。研究例会に始めて参加された方の加入も例会ごとにありました。その結果、会員は全体で196人(正会員100人、賛助会員73人、学生会員23人)となりました。
U、2007年度の活動計画(案)
1、研究例会
 研究例会は、8月、10月、12月、1月、3月、5月の予定で開催します。現在のところ、8月には「障害者自立支援法」、10月には「生活保護」(26日を予定)、12月には「731部隊」(22日を予定)をテーマとした企画を準備中です。その他に、コムスン問題、医師不足と地域医療、年金問題、ジェンダーと福祉などが候補として挙がっています。総会での提案も踏まえて、世話人会で企画を検討し具体化します。企画の具体化にあたっては、関連する会員の積極的な参加を呼びかけ、魅力ある企画をめざします。
2、能登半島地震被災地調査の企画・実施
 5月の打ち合わせで確認した方針に沿って、深見地区と稗造地区を中心に、具体的な調査を企画し実施します。また、金沢大学の調査部隊、いしかわ自治体問題研究所の調査班などとも協力して、それ以外の地域についても生活の実態把握に努めます。同時に、その生活実態の中から制度・政策の問題点を明らかにし、それらを踏まえて生活復興・地域復興のための具体的な政策提言を検討します。
3、第2回社会保障学校の開催
 昨年に引き続き、研究会、石川県社会保障推進協議会、いしかわ自治体問題研究所の三者で第2回の社会保障学校を9月22日に開催します。「人権が息づく街づくり」をメインテーマに、記念講演(布川日佐史静岡大学教授)と5つの分科会(貧困と格差、地域医療、市町村合併と福祉、震災と社会保障、 保育)が予定されています。研究会としても、成功のために講師・運営の両面で奮闘します。
4、「医療・福祉研究」第17号の編集・発行
 『医療・福祉研究』第17号を、12月の研究例会での発行を目標に準備します。すでに特集は「現代の格差・差別と社会保障」(仮題)とすることが世話人会で確認され、執筆依頼を始めています。その他に小特集として「アジアの社会保障」「能登半島地震」がほぼ決まっています。新たな書き手の発掘に努め、新鮮な問題提起による魅力ある誌面づくりをめざします。会員による積極的な投稿も期待します。
5、他団体の企画等への講師派遣
 研究会の豊富な人材を他団体の活動にも役立ててもらえるように、講師派遣に取り組みます。まず、講師登録とテーマ登録を進め、データベース化して内外に公表し、活用を呼びかけます。また、準備段階から参加して企画立案にも協力する取り組みを、要請があれば進めます。
6、スタディーツアーの企画
 他地域・他国への視察と研修の企画を、会員からの提案を受けて計画します。研究会ならではのユニークな企画の提案を期待します。
7、研究会運営の活性化
 世話人会への参加メンバーを拡大し、運営の活性化を図ります。また、新しい会員を迎え入れる取り組みを積極的に展開し、研究会のさらなる底上げを図ります。さらに、昨年度の反省を踏まえ、会費の徴収に積極的に取り組むとともに、研究会誌の普及にも努め、安定した財政基盤の確立をめざします。